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2012.12.27 Thursday

海苔の刈取り@森水産(北淡)


先日、森水産さんの一番海苔の刈取りに同行させて頂きました。
海のしけが続くこの時期には奇跡的な天候!
そして穏やかな海。
なによりも最高の仕事日和の時にお声掛け下さった森さんに感謝致します。



森さんのお父さんが沖の漁場へと案内して下さいました。



おおっ!
初めての光景に興奮!



海苔の下をくぐって刈り取るとは聞いていましたが、その状況がもう一つ理解できずにいました。
なるほど!
百聞は一見にしかずとはこの事。
それにしてもすごい!!
確かに海苔の下をくぐっている。



そして想像していたよりもはるかに大きな漁船に驚きました。



漁船の中から森さんが、
「お〜い!こっちに移るかぁ〜!?」
えっ!
そんな事、出来るんですか?
是非!



森さんのご厚意で海苔刈取り専用漁船に乗せて頂きました!
ありがとうございます。
刈り取りの時期にだけ活躍し、オフシーズンは陸に引き上げるそうです。



先端にセットされたステンレス製のアームが海苔網の下をもぐる事で、漁船ごと網の下を進んでいく仕組みになっています。



中央上部分に海苔を刈り取る為の刃物が回転しており、次々に刈り取られていきます。



すごい量です!
漁船は海苔のプール状態。



海苔のカーテンの隙間から射す朝陽が幻想的でした。



漁場に組まれた海苔のセット。



一度漁場に出ると一気に100網分の海苔を刈り取るそうです。
行ったり来たりの繰り返し作業。



揺れる中、海苔を無駄なく刈り取る為の漁船の操作は至難の業!
常に両手両足を使って微調整を繰り返しながら進んでいきます。
神経をすり減らしながらの作業です。



こちらは刈り取り終えた海苔。
成長点の上を刈り取るので、一週間後には再び成長した海苔を刈取りに来るそうです。
それを何度も繰り返していきます。



刈り取った順に一番海苔、二番海苔、三番海苔、と呼び、少しずつ味も固さも異なるそうです。
一番海苔が一番柔らかく美味しいとか。
ですが、軟らか過ぎて巻き寿司には向かないなど、特徴に合った調理法もあるようです。



刈取られた海苔が船上に溜まっていきます。



本当にすごかったです!



急旋回すると船からこぼれ落ちそうでした。





海苔の成長に合わせて浮の数も変えていくそうです。
ワカメの養殖とよく似ている。
少しずついろんな知識が身についてきている事を実感。





着くとすぐにポンプを繋いで加工場の水槽に海苔を送るそうです。
漁港にそんな設備が備わっているとは全然知りませんでした。





ここからはお母さんの出番。
海に出る男の人。
陸で待つ女の人。
ちなみにお母さんは船が苦手で漁場には一度も行ったことがないそうです。



早速、水槽で海苔を洗う準備に取り掛かります。



4個ある水槽に先ほど刈り取った海苔を入れていきます。



すごい勢い!
海水で洗っていきます。







漁船に残っている海苔を海水でポンプに送り込む。





家族一丸となって仕事に向かう姿が温かく清々しい。
自然と向き合う人達の背景には温かな強さがある。

「私は子供にも孫にもにも生きた状態のモノを見せてきた。
見て、触って、料理して、
生きたモノを食べさせてきたからウチの子も孫も滅多に風邪も引かんのよ。
味噌も昔から自分で作るし、いろんな干物もするよ!
海苔の時期は忙しいから出来んけど、暖かくなったらいつでもおいで!」


ありがとうございます!
本当にお世話になりました。
今後ともどんどん宜しくお願いいたします。


只今、rakutogama cafe花岡農恵園さん・合鴨米ランチにて森さん直伝の海苔の佃煮&特製海苔をお出しさせて頂いています。
後日、その様子もUPさせて頂きたいと思います。

一つ一つの出会いが食を通じて少しずつ繋がっていくのが嬉しくて仕方がないです。
そこの場に一陶工として関わらせて頂ける有難さ。
こんなに幸せな事はないです。

本当に大勢の方に支えて頂きまして、全てをこのような形でお伝えしていく事は難しくなりつつありますが手の届く範囲で少しずつお伝えできればと思います。

2012.12.15 Saturday

割干し大根


大根を分けてもらいに広石で農家をされている畑野さんの畑へお邪魔してきました。



見渡す限り一面の大根。



20本お願いすると、サクサクっと慣れた手つきで抜いて下さいました。



「葉っぱはどうする?昔は皆、よく食べてたけど最近は食べる人も少なくなってきたからね〜」
とりあえず付けといて下さい!



一列にずらり。



「赤い大根も持って帰る?」
ぜひ!いつもありがとうございま〜す。
なんて調子のいい返事を。。。



大根を抜く時、持つ時、手渡す時、その瞬間瞬間に畑野さんの愛情が伝わってきます。







菜の花も頂いてしまいました。
いつも本当にありがとうございます。



さて、樂久登窯に戻ると葉を落とし皮を剥いて割干しにする準備を開始!



こんなカンジ。



少し前にはじめた干し柿の間に吊るしていきます。



数時間前に畑から抜いた大根。
瑞々しいとはこの事。



寒い日が続いてくれると約2週間でこんなカンジになります。



大根の旨味がぎゅっと凝縮された割干し大根。
只今、rakutogama cafeのランチにてお出しさせて頂いています。

花岡農恵園さんの合鴨米と一緒にご賞味下さいませ。


※ランチは平日のみ。前日までのご予約が必要となります。
お問い合わせ先 : 0799-34-1137

2012.12.11 Tuesday

暮らしをしつらう器。vol.1〜vol.3


rakutogama bookを制作するにあたり、有難い事にいろんな方から様々なご意見やご感想をお聞かせ頂いています。
ありがとうございます。
改めて振り返ってみると身の回りの出来事を自分の眼で確かめに行こう!
それをまとめて本にしよう!
と、思ったのはある料理人との出会いが大きかったのかも知れません。
その方はどれだけ美味しいとお客さんから褒めていただいても「自分の料理は生産者のおかげ様です。」
何度もその言葉を繰り返していました。
その言葉がとても心に残り、一体自分は何の為のしつらいをしているか?という疑問が膨れ上がってきたのだと思います。
自分はバトンを渡されている。
一体どこから始まっていたのか?
そんな好奇心からrakutogama bookの取材が始まりました。
生産者の元を訪ね自分の器に盛られる食材の成り立ちと生産者の想いを知りたい。
もちろん全てを知れるわけもなく、想いのほんの一端に触れる事ができればという気持ちで訪ねています。
ですが、生産者の方の現場に立ち会わせて頂くだけで十分過ぎるくらいに大切な事が伝わってきます。

想いに触れる時間

そのような時間を経てから制作に入るという工程を繰り返して取り組んだ器が少しずつ焼きあがっています。





淡路黒炊飯土鍋。(4合用)

取材で訪ねた花岡農恵園さんの合鴨農法米を美味しく頂く為に制作に取り掛かりました。



淡路鉄釉炊飯土鍋(4合用)



緑釉掛け分漬物壺。



ご近所さんご自慢の漬物を伝授して頂く為に漬物壺を作りました。
皆さんからお話を聞いているとそれぞれに漬け方に特徴があって面白いです。





粉引漬物壺



イッチン飯碗


今回制作するにあたり器にのる食材の背景がしっかりとイメージすることが出来たのがとても新鮮でした。
器の向こう側に広がる景色を投影した焼き物。
そんな事が可能かどうかは分からないですが、自分の中で絶えず変化が起こっているのは確かです。
感じたことの全てを書き留めたり、カタチとして表現していく事は難しいですが自分にとってよりよいカタチに近づけているという実感があります。
なにより作る事がどんどん楽しくなってきました。
只今、rakutogama cafeにて今回制作した器と取材で訪ねた生産者さんの食材を使ったランチを平日限定でお出ししています。
後日、その様子もUPさせて頂きますのでどうぞご覧下さいませ。

2012.12.02 Sunday

なおみの出産


11月29日17:00に岡本さんから電話が、
「西村くん、早よ来なもう生まれるぞ!」
すぐに準備して広石で牛飼いをされている岡本さんの牛舎へ駆けつけました!



急いで来たのですがすでに出産を終えて、なおみ(母牛)に舐められながら、岡本さんに温かいタオルで体を綺麗に拭いてもらっていました。
出産の瞬間は見れなかったですが、無事に生まれてなによりです。
本当によかった!

「子供を虐待する親に見せてあげたい」と言いながら生まれたての子牛をさすり続ける岡本さん。
その眼はとても優しい。

いつかは旅立つ命。
牛は畜産業の収入源。
そんな全てを受け入れながら愛情を注ぎ続けている岡本さん。
常に牛に話しかけながら世話をされています。
時々、子牛達とサッカーをしてみたり、
母牛のなおみも僕にはすごく警戒していましたが、岡本さんには生まれたての我が子を安心しきって委ねていました。



子牛が自力で乳を飲めるようになるまでは気を抜けないそうです。
母牛も子牛が立ち上がって乳を飲みに来させるために疲れ切った体で立ち続けます。

フラフラしながらもなんとか踏ん張り立ち上がろうとする姿は生きる力そのものでした。
転んではすぐさま立ち上がろうと後ろ足を踏ん張る!
何度も何度も起き上がって、乳を探しにいきます。
眼もろくに見えていないそうです。
親牛は手助けせずにずっと立ち続けて待ちます。
見守っている。

生まれた時から必死で生きようとしている。
いや、生まれる前から命は育まれていて、僕はそのほんの一端に触れただけでした。

本当に大切な事は気付きのずいぶん前から始まっていました。
何を語る事もなく黙々とそれに愛情を注ぎながら守って来られた人達がいます。
こんなにもすぐ近くに。
軽トラで走る淡路島の景色が僕の中で、どんどん変わってきました。
1つ壁の向こう側にはこんな景色があちらこちらで広がっている。

ちなみに生まれた子牛は「ちかこ」と命名されました!
またちょこちょこ様子を覗きに行きたいと思います。
大変な時に取材させて頂きまして本当にありがとうございました。

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